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2024年8月9日15時30分掲載 EE Times Japan
北海道大学の研究グループは、高知工科大学と共同で、78cm2/Vsの電子移動度を有し、安定性に優れた「酸化物薄膜トランジスタ」を開発した。次世代8K有機ELテレビの画面駆動が可能になります。
活性層薄膜の表面を保護膜で覆い、安定性を大幅に向上
北海道大学電子科学研究所の京優作助教、太田博道教授らの研究グループは、高知工科大学理工学部の古田守教授と共同で、2024年8月に電子移動度78cm2/Vsで安定性に優れた「酸化物薄膜トランジスタ」を開発。次世代8K有機ELテレビの画面駆動が可能になります。
現在の 4K OLED TV は、画面の駆動に酸化物 IGZO 薄膜トランジスタ (a-IGZO TFT) を使用しています。このトランジスタの電子移動度は 5 ~ 10 cm2/Vs 程度です。しかし、次世代8K有機ELテレビの画面を駆動するには、電子移動度70cm2/Vs以上の酸化物薄膜トランジスタが必要となります。
マゴ助教授と彼のチームは、 酸化インジウム (In2O3) アクティブ層用。しかし、空気中の気体分子の吸着・脱離により安定性(信頼性)が非常に悪いため、実用化には至りませんでした。
研究グループは今回、空気中のガスの吸着を防ぐため、薄い活性層の表面を保護膜で覆うことにした。実験結果は、TFT に保護膜が付いていることを示しました。 酸化イットリウム そして 酸化エルビウム 極めて高い安定性を示しました。また、電子移動度は78cm 2 /Vsであり、±20Vの電圧を1.5時間印加しても特性は変化せず、安定であった。
一方、酸化ハフニウムや酸化ハフニウムを用いたTFTでは安定性が向上しませんでした。 酸化アルミニウム 保護フィルムとして。電子顕微鏡で原子配列を観察したところ、 酸化インジウム そして 酸化イットリウム 原子レベルでしっかりと結合していました(ヘテロエピタキシャル成長)。これに対し、安定性が向上しないTFTでは、酸化インジウムと保護膜との界面が非晶質となっていることが確認された。